咳を一度して、智さんは話を進めた。
「俺の彼女は昔、杏ちゃんを苛めていたんだ」
「え―…?」
「それで杏ちゃんに、初めて会った時どんな顔をすればいいのか分からなかった。
それでも杏ちゃんは何も知らないまま優しく接してくれた。
俺も次第に心を開いたんだ。
でも心の中はもっと黒いんだ。
俺の愛した彼女は、結局奪われてしまった。
その男はもういない。
そして彼女も―…」
前に智さんは“復讐”をしに、あの高校に転入したと聞いた。
その意味が少しずつ繋がっていく。
「…死んじゃったってこと?」
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