「いつもなら聞きたそうにするのに、です」
「まぁいいやって思ったからな」
「変わってますね」
「お前がな…」
呆れ口調で言うと、柏が傍にあった椅子に腰掛けた。
軋む音が聞こえた後に、柏が口を開いた。
「俺はもう人間には深入りしないんです。
それで、ですかね。俺は完璧を求めるようになったんですよ」
「誰にだって、間違いはあるしいい意味もある。
何もそんなに責めなくても」
「俺がやってしまったことは、最悪なことへと導いたから…。
俺はいいんですよ。ていうか直樹さん、手。止まってますよ。
早くしないと夜を迎えますが」
「うわっ! マジかよっ…」
「相変わらず、慌ただしい人ですね…」
「お前も手伝えよ!」
「やっぱりですか…」

