-直樹-
「ったく…」
俺は生徒会室で、仕事に追われていた。
授業とかもろくに出ずに、仕事が終わらないってもはや会社員じゃねえかよ…。
窓の外を見れば日が沈んでいくのを感じる。
さっき、智が俺のトコに来た。
あの表情は凄く悲しげだった。
『今日、杏ちゃん借りていい? というか、カフェ行くくらいなんだけど』
『お前の過去、言うつもりなのかよ』
『俺…のことを早く知れば、杏ちゃんも呆れて逃げるよ』
『……アイツはそんなんじゃねぇから。
安心して言えよ、お前はいつも誰かを疑ってばっかだし』
俺が冗談半分のつもりで言った言葉に、智の顔つきが変わっていた。
『ありがとう、直樹』

