謹慎処分をくらって、2日目。
今日は男装していくはめになるなんて…。
「杏ちゃん? 元気ないけど、どした?」
考えていると、智さんが苦笑していた。
「あぁ。男装って直樹の提案か」
「そうだよ…」
「アイツ、嫉妬深いんだねぇ」
智さんが楽しそうに笑って、それからすぐに腕を組んだ。
「杏ちゃん、とりあえず音楽室行く? 直樹に内緒で、会いたいんだろ?
あの幼馴染くんに」
「うんっ! 行きたいっ!!」
智さんがこういう空気を読んでくれる人で、本当によかった。
何て胸を撫で下ろしていると。
「…俺も嫉妬深いから」
「…え?」
智さんの表情は、少しだけ曇っていた。

