驚いて彼を見つめた。
すぐに恥ずかしくて、顔を逸らした。
直樹は何故か察したようで、笑みを深めていった。
「ンだよ…。可愛いやつだな。何期待したんだよ」
「別にっ! 何もしてないもん」
勢いよく立ち上がった。
直樹が笑いつつ、あたしの後ろを着いてきて冷蔵庫を開けた。
「野菜がちらほらあるな。後は適当に頼んだ」
「はぁ…」
家でいつも作っていたから、料理は好きなほうだった。
冷凍庫にはお肉もあって、賞味期限が大丈夫なことを確認しておいた。
この野菜で作れそうなのは温かいポトフかな。
お肉でロールキャベツも作ろう。
そんな時あたしの着ていたパーカーから、メールの着信音が聞こえた。
「何か鳴ってんぞ」
「ほっといていいよ」
その相手が誰かなんてわかっているから。

