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話終えた梶山くんはいつも通りの声色で言った。




「心配しなくても、俺は大丈夫ですから」



「大丈夫じゃないでしょ」



「もう、十分ここで鍛えましたから。あ、



心の方ですよ?心」



「知ってる」






急に饒舌になった私を見て



梶山くんは私に近寄ってくる。




「私は…親を殺した」



「そうなんですか」




以外にも梶山くんはあっさりと相槌をうった。






「殴られてたのはいつもだけど、




殴られて痛くて思わず突き飛ばしたら、落ちて



近寄ったら頭から血がだらだら流れてた」




「おぉ」




「お母さんが来て、階段から落ちたって



警察に連絡して終わり。お母さんもDV受けてたから




何も言わなかった」





簡単に説明して私が顔を上げると



梶山くんの顔がすぐそばにあった。



じっと見つめられる。




日光に反射して瞳が茶色く光る。



その瞳がとても綺麗で私も見つめ返していた。




「上手く言えないんですけど、



どんなに辛くても

夢叶先輩笑ってるから。




すごい弱い人なんだと思います」




「え?」




「人に頼れなくてずっと泣きたいけど




周囲に迷惑はかけられないから笑ってないと、




って俺にはそう言ってるように見えてました。」






梶山くんは私の頬をそっと手で挟んだ。





「泣いていいんです。





人は強がる必要なんてないんですから。」





その言葉に心が引っ張られた感覚に襲われ




私は一筋、また一筋と涙を流した。




涙を拭こうとしても拭かせなかったのは




もしかしたら彼の優しさなのかもしれない。





そんな彼の過去と私の闇を打ち明け合った



昼下がり。