「先生、高岸さんが体調不良みたいなんで保健室連れて行きます」


後ろから肩を支えられたかと思うと上に持ち上げられる


俗に言うお姫様抱っこで


「キャアア!」


近くにいた女子が叫んだ


それをお構いなしに星夜は教室を出ようとドアに向かう


「新崎君、待ちなさい! この問題を解かせてからよ!」


その背にオバサンが叫び黒板を叩く


「……病人相手に大人気ない。 そこまでして何の為になるんだ」


「なっ……!?」


背を向けたまま言った星夜にオバサンの目の色が変わった


「待ちなさい! 話は終わっていませんよ!!」


キーキー叫ぶオバサンを無視して教室を出た


授業中だからか廊下はやけに静かだ


「さっきより熱が上がってるだろ」


「……うん」


「後は保健室のベッドで寝ていろ」


「……うん」


「緋麻里達も終わったら来るはずだから」


「……うん」


もうそれしか言えない