強がりな元姫様



「ありがとう。 でも、頼んでもないのに申し訳なかったな…って」


「気にせんでええの!」


富田はニコニコ笑いながら肩をポンポン叩く


「そこまで言うんだったら高岸さん、お礼してくれる?」


五十嵐が人差し指を口元に当てて微笑んだ


「……何をすれば」


「別に大した事じゃないよ。 ただ、堅苦しー感じじゃなくてさ、こう柔らかく……」


「……何を言いたいの」


さっぱりわからない


「なんだろねー」


ふふふ、と意味ありげな笑い声をあげた


「……せやから、高岸との壁がなんかあんねん。 それを変えれば、壊れるって感じや」


「壁? なんの?」


「翼ちゃん、さっきあたしが言った事です!」


さっき? ……あぁ


「本当にそれ?」


「はいっ!」


なんだか気は進まないけど……


「……颯一、塁。 ありがとう」


何だか恥ずかしくなり、顔を逸らした