目の前の男はキレイな顔立ちしている


長い前髪から覗く灰色の瞳が細まり、形のいい唇が弧を描いている


「はじめまして、かな。 雛菊の総長さん」


「!?」


「同じ総長同士仲良くしようじゃないか」


コツンッ


笑みを浮かべたまま近づいてくる


……彼と同じ?


そんなわけない


なぜ歩いているだけなのに威圧を感じるんだよ


足がすくんで動けない


目の前に立った


「出会い記念に握手をしようか?」


そう言って男は左手を差し出した


「……」


俺はまるてま金縛りにあったかのように手が動かず、さらに声も出ない


「……何? そんなに俺が怖いの?」


「……っ」


呆れたような仕草で両手を広げた


右手にはグルグルにハンカチが巻かれている


「いいけどさ、絃鬼は既に俺らが潰した。 お前が目的であろう彼女は責任取って保護するから安心してくれ」


俺に肯定を求めるかのように視線を向けた