「――……それから俺らは翼を倉庫から追い出したんです」


俺らが言った事一言一句正確に覚えていたんだ


「翼ちゃんの話は誰も聞こうとしなかったの?」


「……聞けなかった。 いや、聞きたくなかった…何を言っても信じられなかったんです」


あの時、ちゃんと聞いていればよかったんだ


「……大河はどんなつもりであんな事言った?」


『お前がここにいる資格無い、今すぐ出て行け』


立場が変わってあんな事いわれたら傷つくのは当然だ


雛菊の姫…それが資格だったのか?


違う!


「翼は"姫"にこだわってなんかいなかった。 なのに……」


テーブルにうなだれ、頭を抱える


深い溜め息をついた


「先々代からの一言がある。 厳しいのと優しいのどっちがいい?」


「……厳しいので」


「わかった」


庵さんから出た言葉は酷く心にのしかかった