強がりな元姫様



「総長!」


「こんなの掠り傷程度だ。 問題ない」


「その割には、血が止まってないけど」


栗色の男が苦笑いを浮かべる


……もう名前で呼ぼう


私はスカートのポケットからハンカチを取り出し、手を伸ばした


「手を貸して、"新崎"」


「「「「え!?」」」」


……なおもここまで揃うとは


「栗色は五十嵐、銀混じりの黒髪は富田、緑色の髪は飯島、白髪は新崎、緋色は…緋麻里」


五人は互いに目を見合わせ息を吐いた


「バレてもうたら隠しきれへんで」


「さすがは高岸さん。 カンがいいね」


「翼ちゃんごめんなさい。 これも話すつもりでした」


「緋麻里、落ち込まないの!」


四人は後ろでワイワイし始めた


私は四人を遠目に、


「……これで取れないと思う」


新崎の手をハンカチでぐるぐる巻きに止血をした