男は電話と私を面食らった顔で見ている


そんな事はどうでもいい


「……翔太じゃ話にはならないわ。 誰か他にいないの?」


このままじゃ、私は生きて帰れない


そんな事態を知っててさえも翔太は助けてくれないの?


<生憎、舜はどっかに行ったし、保と浩輔は買い出し。 大河は、午後に学校に出たっきりまだ来ていない>


電話越しの翔太の声がだんだん低くなっていく


<テメェ、大河に何したんだよ>


殺気がスゴい


「……話をした」


というか、謝られた


ただ頭をさげればいいなんて甘く見られた気がするから


その気はなかったんだけど、私はそう見えた


「……大河、以前より威厳が全くないんだけど。 何かあったの?」


あれが総長でこれからは大丈夫なの?


電話口から聞こえてきたのは、


<えー、まどかにはぁ大河がぁそんな風にはぁ見えなかったよぉ?>


まどかの猫なで声だった