男は入ってきた男(多分、下っ端)から電話を奪い、会話し始めた
スピーカーになっているのか会話がまる聞こえだ
「俺が絃鬼の総長だ。 姫を預かったんだ、返して欲しかったらさっさと来い!」
<何言ってんだお前>
この声…翔太?
<俺らの姫は雛菊の倉庫にいるんだぞ? 何なら声聞くか?>
<はぁーい!>
……まどか
「どういうことだ! お前らの総長が人質に取っている女といたんだぞ!」
あぁ、イラついてるし
<はぁ? どこのどいつだよ? 声聞かせろ>
「……」
男が私の前にしゃがみ込み、電話を差し出した
「……私だけど」
<……テメェか>
「そうよ、テメェよ。 雛菊の姫と間違えられたんだけど……」
<はっ、誰がテメェ何か助けるかよ>
「薄情ね、アンタ」
今ここで助けてと気弱になれたらよかったのかもしれない



