強がりな元姫様



「俺は、あの時に翼に酷い事を言って傷つけてしまった。 姫にすると決めて、守りたいと思ったのに……」


大河の言い訳めいた言葉は全然頭に入ってこない


これ以上は聞きたくない


「……"お前の寂しさを紛らわせてやる"って?」


「! 覚えているのか!」


「当たり前じゃない。 ……嬉しかったんだから」


季節は春、入学式後


両親なんてくるはずなく、気分で屋上へ行った


春の風が気持ちよく暫く当たっていると、誰かが入ってきた


それが目の前にいる大河との最初の出会いだった


毛染めなんてしたこと無いような綺麗な黒髪に同色の瞳


彼は新入生代表でステージにあがっていたから顔と名前は知っていた


『……お前、名前は?』


それがきっかけで大河とは屋上で会話をする仲となった


次第に屋上には雛菊の四人が来るようになり、いつしか屋上が雛菊の拠点化していた