次にメールを見ようとしたんだが、着信数が百超えしていた
殆どが同じ相手からの同じ内容だった
時折、塁、颯一、緋麻里、翡麻里からは一、二通程度
翼からは一通もない
毎日、来てくれたし…いいんだけどさ
「ん?」
横にスライドし続けて、ある内容で指が止まった
〔俺の分も翼を幸せにしてくれ〕
「……」
知らないアドレスだったが誰だかは予測できた
この内容を送るにはかなりの決意をしたに違いない
だったらその人の思いを踏みにじらないようにしよう
「……ありがとう」
誰もいない屋上にポツリと呟いた
「――……何が?」
ヒュッ
声と共に風を切る音が耳元を通り過ぎた
手刀で首もとを狙った手をギリギリで受け止める
「どういうつもりだ?」
振り向くと同時に拳を振ったが読まれた為か避けられる