「翡麻里、塁に何かあったんでしょうか」


「さーな」


心配そうにドアの向こうを眺めている緋麻里に笑いかけた


「緋麻里もそんな気ぃ張らんでええやろ。 首を長くして待とうや」


「……そうですけど」


スマホをギュッと握りしめ、緋麻里は俯いた


「あたし、こうして待つ事しかできないのが非常にもどかしんですよ」


「……それは皆同じやで。 いつ星夜が目を覚ますかを翼にかけとるようなもんやし」


今日にでも目を覚ますんじゃないか…何度も思った


いつでも連絡が来ても出れるように携帯は肌身隠さずに持っている


……それもいい加減に、限界や


星夜が、総長がいない倉庫は重苦しい空気が流れている


姫が来なくなってから更に重くなった


ゲーム音や話し声がいつもは聞こえるのにそれっきり聞こえなくなった


覇気が…どんどん薄れていく


俺達では既にどうにでもできない状況に陥っていた