バァンッ


「「「……」」」


勢い良く開かれたドアから入ってきた翼ちゃん


俯いているためどんな表情が分からない


「……どうしたの?」


翡麻里が心配そうに翼ちゃんの肩に触れようした


バシッ


「触ら、ないで」


翡麻里の手を振り払い睨み付けながら左手を右手で押さえる


あたしはそこで翼ちゃんの肩が震えている事に気づいた


「……私、帰る」


「翼ちゃん!」


バックを掴んだ手を取り、身体を向かせる


「!」


表情は酷く怯えていた


「緋麻里も…なの?」


「……え?」


一瞬、何の事だか分からなかった


「緋麻里も、族に入ってるの?」


「……!?」


ここで「入っていない」と言ったら、翼ちゃんの怯えている"何か"から救われるだろう


翼ちゃんの目は、反対の答えに期待しているように見えたから


だけど……