「俺達は翼の言葉で立ち直れた。 今の雛菊があるのはそのおかげだ。 昔みたいに翼が雛菊の姫だった頃に戻りたいとは言わない。

俺は、翼とははじめて会った屋上で話す仲に戻りたい。 あの頃のように……!」


「……大河」


翼は困ったように俺を見上げている


「俺は、ずっと翼の事がー…」


そこで言葉が止まった


「……」


グッと続きの言葉を呑み込み翼の身体を抱き締めた


「え…大河?」


「悪い。 今はこのままで……」


背中に回している手に力が入った


……好きだ


全てが、愛しい


愛しいからこそ、幸せになってほしい


彼女が誰かの隣で笑っていられるなら


俺は…この気持ちに別れを告げたいと思う


「翼にはいるだろう? 誰かを想って、誰かの為なら全てを尽くしたいと思う相手が……」


「誰かを、想う……?」


手で口を押さえ、首を傾げた