「……まどかは嫌いだったけど憎めない存在だわ。
愛されるばかりで、愛し方がわからないのよ。 だから、ひたすら求め続けて、戻れない所まで来てしまった。
そこを気づけば必ずしも戻れると思うの。 その可能性にはかけたいわね」
紅茶をくいっと煽り、息を吐いた
「私、父親にいらない宣言されたんだ。 ただ、昔のように愛されたかっただけなのに、理想を追いかけ続けた結果がこれかぁって……」
「……翼」
「人の温かさはわかった。 だけど、愛し方が分からない。 そんな私がまどかに対して愛せとか、今更ながら笑えないわね……」
「……っ、翼はちゃんと人を愛せる!」
翼の肩をつかみ無理に視線を合わせた
「いいか、翼はいらない存在じゃない! 現に、必要としてくれる人達がいるだろう?」
「……」
翼は俯いて視線をそらした
こんな事、俺が言える義理じゃない



