強がりな元姫様



ガチャリ


「!」


窓際に移動していた翼の肩が跳ねる


「悪い、驚かせたな」


「……」


隣に立って窓から見える景色を眺めた


無言で先程買ってきた紅茶を渡した


「……ありがと」


手に取ると同時に小さな声だが翼は口を開く


「「……」」


しばらく無言が続いた


「ごめん、大河。 色々と迷惑かけたわね……」


「ん? あぁ、いいんだよ……」


さて、どうやって話していこうか


「……休校明けの学校はどうだ?」


出たのは当たり障りのない質問だ


翼は涙は止まったが未だに潤んでいる目を伏せる


「いつもとは正反対。 誰もが話しかけて来るようになった。 皆は、真実を知ったみたいだしね。

だからって……」


紅茶を持っている手にギュッと力が入った


「まどかをかつての私みたいに悪者扱いするものかしらね」


「……」


俺は翼に視線を向けた