「私はいらない…いらないんだ」
グズグズと泣き崩れる翼をただ眺めるしかできなかった
そうやってまた俺は……逃げるのか?
「……っ」
本当は言ってしまった本人が慰める権利なんてない
だが彼は今はここにはいない
決めた
俺が翼を楽にしてやろう
二度と呪縛に縛られないように俺が解こう
呪いをかけた奴に解かせるものだ
だから、これは俺の役目だ
「翼」
俺は泣いている翼を落ち着かせるために笑った
「人目のつかない場所に移動しようか」
軽く引いただけでもフラついたように動いた
来た道を戻り空き教室ではなく、さらに奥にある資料室に入った
広い室内には古い本が本棚に並んでいて、その間に黒い長イス二つと間にテーブルが置かれていた
翼を片方に座らせる
落ち着くには何か飲ませた方がいいよな
翼に一言言ってから自販機に向かった



