時期が経ってから言おうとはしていたが、いろいろあったからな
まさか、鸞はそれを勘づいていたのか?
だから、あんな事を言ったのか?
……あり得るかも知れない
だったら、言えばいい
だが、翼は絶対に星夜を気にかけている
その中に俺が入り込む隙間なんてない、と考えた時点で俺は既に気弱になっているという事だ
前だったら相手の存在を気にかける事なく言っていたかもしれない
……いつからこんなに臆病になったんだ?
考えても浮かび上がらない答えに俺は頭を抱えた
溜め息を付いてから席を立ち、空き教室のドアを開ける
シンッとしていて静かだ
廊下を出て、三階に通じる階段に差し掛かろうとした瞬間
ドンッ
「きゃっ……!」
曲がり角から出てきた人物とぶつかった
悲鳴をあげる女子
ミルクティー色の長髪が目の前で大きく揺れる
彼女の腕を俺は咄嗟に掴んだ



