「翼は、毎日見舞いに来てるよ。 それで、時間ギリギリまでいるみたい」
「……そうか」
最後に病院で見た翼はの姿が忘れられない
医師の話を聞いた後は目を見開いたまま呆然と立ち尽くしていた
病院を出て一人で敷地内を出ていった翼を俺は追いかけて、そこで人通りのない場所で泣きじゃくっていた
……その姿を俺は眺めるしか出来なかったんだ
そして何も出来なかった俺自身を恨んだ
「――大河はそれでいいわけ?」
鸞のふざけた調子でない、真剣な口調だ
「な、何の事だ」
「とぼけんな。 翼の事をこのままでいいと思ってんの?」
「……そんなの」
思わない、と言えればどれ程楽だろうか
前みたいに翼がいた雛菊には戻れない
しかも、俺は許されない事をした
いくら自暴自棄になっていたからってあそこまでする必要はなかったのに
それなのに白神の人達は俺達に協力してくれたにもかかわらず、何も返せてない