『……うん、わかった。 だけど、トモダチでなら一緒にいてもいいよね?』
塁はそう言って悲しそうに笑っていたのに僕は気づかなかったんだ
それからは星夜と颯一に会うまでは三人でいたけど、塁と緋麻里の間には一線が既に引かれていた
引いたきっかけを作ってしまったのは僕だ
「――……わかってて今更、線を消してなんて言えないよ」
「……まぁ、そこんとこは塁はきっちりしとるよなぁ」
事情を知る颯一は腕を組んで首を傾げた
「ただ、このままを保とうとするのはいい加減に苦しいんやないか?」
「……分かってるよ」
シスコンって言うんだっけ?
十六になったんだからいい加減に姉離れしないとね
「だから、僕自身が何とかしないと」
近くて遠い関係を作った僕が変えなきゃいけないんだ
「それでこそ翡麻里や!」
颯一はニッと笑い、僕の頭を叩いた
叩かれたのに全然痛くなかった



