「……ハハハ、いらないだなんて、私が…一番、わかっているわよ」


その時の翼ちゃんの表情は、笑っていたが泣くのを必死に堪えようとしていたようだった


唖然とするクラスメートを横目にフラフラとした足取りで教室を出て行ってしまった


`……´


誰もが言葉を発さずに教室のドアを眺めている


本当はすぐにでも追いかけたかった


追いかけなければならないのに、僕の足は言う事を聞いてくれない


……あんな顔、はじめて見た


仮に追いかけたとしてもどういった言葉を投げ掛ければいいの?


今はどんな言葉でも傷付いた彼女には届かない


「……な、なんなの? いきなり笑って、気味悪い」


「イカれてんじゃねーの?」


ボソリ、ボソリと聞こえてきた悪口だが先程の勢いは既になくなっていた


「お前ら、翼に何をしたんだよ……!」


青ざめた表情のまま浩輔君はクラスメートに問いかける