「あ、ありがとうございました!」
バイクから飛び降り、ヘルメットを渡してから病院に駆け込んだ
「――姫様、俺は皆が来るまでここにいるからね」
氷雨さんはすっかり元に戻っていた
病院内に入り、周りを見渡す
颯一が緊急オペに入っていると言っていた
手術室って……
案内板で場所を探し急いでそこに向かった
手術室に向かう通路は薄暗く、酷く静かだ
「……あ、塁」
イスに深く座り、うなだれている姿を見つけて近寄る
「……翼か。 速かったね」
私に気づいて弱々しい笑顔を浮かべた
「氷雨さんにバイクに乗せられてきたの」
「……急に、態度が変わって大変だったでしょ?」
「そうね。 正直、あれは怖かったわ。
……塁、無理して笑わなくていいよ」
「……あは、は。 やっぱり、ばれたか」
そう言って、悲しそうに目を閉じた



