「それくらい心得てるよ!」
バイクをふかしながら方向を変える
「――さぁて、いっちょとばしますか!」
「「「……あ」」」
「……氷雨さ……!?」
雰囲気が変わったのは気のせいだろうか
三人は何故か青ざめていた
気になって声をかけようとしたが、動き出したバイクに息が止まる
「わ、忘れとった! 氷雨さんはバイクに乗ると人が変わったようになるから気ぃつけなはれやー!!」
……大事な事は早く言って欲しかった
「氷雨さ……あ、安全、運転」
「わかってるよ! 翼、ぜってー離すなよ!!」
そういいながらもどんどん加速していく
氷雨さん、人が変わりすぎてない?
こんな状況で離すわけないでしょ!
はじめてバイクに乗った私の中で恐怖が支配しきっていた
時間にしては数分
「着いたよ」
その言葉に促され、閉じていた目を開けると見覚えのある建物が目の前に建っていた



