強がりな元姫様



その瞬間、右側からバイクが飛び出してきた


突然の事で何も判断できずに凝視してしまう


「……!」


キキィー!!


ブレーキ音が響き渡った


目を開けるとバイクは向かいの電柱にギリギリ停まっている


「危ねぇな! いきなり飛び出してくんじゃねぇーよ!

…………え、姫様?」


バイクの乗っていた人がヘルメットを外し怒鳴ったが、すぐに目を見開いた


「……ひ、さめさん?」


アッシュに赤をいれた髪を揺らしながらバイクから降りてきた


「話は鸞からすべて聞いた。 急ぐならバイクに乗せるから。 ……颯一、大丈夫か?」


「……あ、あぁ」


颯一が後ろから襟首を掴み、後ろに引いた為、バイクと衝突せずにすんだ


その際に私の肘が倒れると同時に腹部に当たってしまった


私を間に座らせるような体制で蹲っているのはそのためだ


「こ、こんなん、た、体した事やない」


「……ごめんなさい。 颯一」


謝ると涙目で私を睨む