「も、もうやめて下さい!」
緋麻里に背後から抱き締められて止められた
まどかの頬が腫れているし、私の右手が赤くなっていた
「もう…見てられません……!」
すすり泣く声に我に返る
「あああ……ううっ」
まどかはその場に座り込み、痛みに呻き声をあげた
「……」
私は立ちすくむしかなかった
いくらなんでも限度があるはずだ
なのに、怒りで自分を抑えきれなかった
「翼、やりすぎ。 そこまで彼女を憎んでんの?」
鸞の言葉に首を横に振る
「ところで、名前を呼びながら叩いてたけど、翼自身のはやらなくていいの?」
「いいよ。 もう、無理だから」
「……そっか」
私の手を見て鸞は納得したような顔をしていた
それからパトカーや救急車が学校内に入ってきた
怪我人の治療や組員の確保に向けて慌ただしくなっていく
パトカーから降りてきた光さんが気づき、こっちに向けて走ってきた



