「せい、や……?」
名前を呼んだ翼の声は震えていた
「……やっと、こっちを見てくれたな」
「……っ」
つぅっと目から涙が流れる
「ごめん、なさい。 私のせいで理事長が…星夜も撃たれた。 私なんかいない方がいいんだ」
「……」
「もう、やめて。 これ以上星夜が傷付く姿なんて見たくない!」
涙を流しながらも叫ぶ
「翼」
「!!」
ひどく怯えた様子で俺を見る
怖がらせるような事したかな
「これは俺の不注意だから翼は悪くない。 航さんに関しては気にしなくていい。 本当は避けれるはずなのにさ、年で鈍ってたんだ」
「おい! 俺はまだ26だ!!」
航さんは理事長室の窓から叫んだ
届かない程の大きさだったのに、とんだ地獄耳だな
「……と、叫ぶ程だから大丈夫だろう」
撃たれた部分をタオルでしっかりと止血をしているのも確認できた



