強がりな元姫様



「……うっ」


視界が歪み再び地面に片足をついた


血の量が半端ない


痛みが身体の機能を奪っていく


「ハハハッ、総長なんて大したことないなぁ!」


銃を俺の方へ突き付けたまま若頭は嘲笑う


その笑い声も遠くから聞こえるようだ


「や、やめて! 私を撃てばいいじゃない!! なのに、どうして……!」


「言ったでしょう? 苦しんで貰うって」


「星夜は関係ない!!」


「おおありよ」


翼と現姫の会話が耳に届いた


「あんたに味方する物はぜーんぶ壊してあげる。 感謝してよね。 あんた自身には傷ひとつ与えないんだから」


「……っ」


「あんたが悪いんだからね。 "消えろ"と言ったのに聞かないで新しい場所を作ったんだから」


……なんだよそれ


俺は深く息を吸い込んでから立ち上がる


不思議と痛みなんて感じなかった


自分でも驚くほどに自然な流れで動けたんだから