「……まどかの手引きだったのね。 今度は何を企んでいるのかしら」


「別にぃ、あんたの減らず口を吐けなくするためよぉ」


ニヤニヤと笑う姿はさしずめ悪魔のようだ


「若頭さぁん、それを外に連れて行きましょうよぉ」


「はいはい」


「!?」


腕を掴まれ、無理にでも引かれていく


「離してよ!!」


振り払おうとしたが、頭に銃を突きつけられた


「人質は黙っていればいいんだよ」


「……っ」


急激に思考を奪っていくようだ


「プッ、その顔が見たかったのよ」


私の青ざめた表情を見て、まどかは笑いだした


自分の意思ではなく勝手に足を動かされているような錯覚を覚えた


「高岸!!」


「……ぁ」


助けてなんて言えない


言える立場じゃない


理事長の姿を横目に私は理事長室を後にした


「……ごめんなさい」


誰にも聞こえないほどの小さな声で呟いた