「組と聞いてかなりの警戒はしていたが、援軍は来る様子はないし……ん?」
理事長は窓に手をついて外へ疑心の目を向けていた
「あれで、辻岡組と谷口組は終わりなのか……?」
ブツブツと呟く理事長に不審を抱いた
「理事……」
コンコンッ
言葉を遮るように、理事長室のドアが叩かれた
「――……理事長、急遽として職員会議を始めますので会議室にお集まりください」
ドアの向こうから聞こえてきた落ち着いた青年声
あれ、この声、どこかで……?
「すみませんが現状況についてですので、速やかにご移動願います」
──〈すみません逃げられましたー〉──
「……っ!?」
声のトーンは違うけど間違いない
"あの時"私に電話してきた人だ
何でドアの向こうにいるの?
「……居留守を使う気ですか? それとも、"彼女"がいるから開けられないのですか?」
「「!?」」
誰だとは聞かなくても分かる



