「……用なんてない」
ボソッと呟いた一言
「ただ……」
大河の手が伸びてきて……
瞬間、視点が上に向いた
背面に柔らかい感触
私に覆い被さるように大河が乗っかって来た
「……何、やっ!?」
両手を上で押さえつけられて、身動きができない
「大河! どけて!!」
「……」
空いた片手で私の左頬に触れた
「フッ。 俺も随分と惨めになったよな? 翼もそう思うだろ?」
「……え?」
「総長として、何が大事だとか分からなくなったよ」
自虐的に笑い、首もとに顔を埋める
ピリッ
「!?」
電撃が入ったような痛みを感じた
「いた……大河、やめて」
「……」
言ってもやめてはくれなかった
その痛みが二回、三回と続く
「……翼ってこういう経験した事ないだろ? なら、教えてやるよ」
「っ!?」
大河の手が制服の中に入ってきた



