強がりな元姫様



保健室ってこんなに広かったっけ?


さっきまで賑やかだったのに、今は嘘のように静まり返っている


一人が当たり前だった私は変わったって事なのかな


鏡に写った姿を見ながら疑問に思う


ガーゼを貼った隙間から見える痣と切れた唇


治るまで撮影とかはできない、晴羅さんに謝らないとね


それにしても、ここにいて気になる事が一つ


「養護教諭っていないの?」


少なくとも見た事ないのは確かだ


実際にはいるんだが、ここには顔を出さないだけだとか


道具はほとんど揃っていて不足はない


自分達でするからいる必要ないとか?


「……そうかもね」


自分でするから必要ない、お役目放棄か


ベッドに腰かけて溜め息をついた


久々に見た大河は以前とはうって変わっていた


澄んでいた瞳に色がなくなっていた


確か、雛菊の先代が営むバーで話をしたのが最後だった