「翼、血が出てる!」
「……あ、っ!」
鸞に言われて改めて左頬に触れる
電撃が走ったような痛みに顔をしかめた
「立てる?」
「……」
答えようとする前に私の身体が浮いた
「ちょっ……星夜!?」
口の中は鉄の味がして話す度に痛い
「保健室行くぞ」
横抱きにされたまま星夜が歩きだす
この体制は二回目だ
一回目は熱を出した時だが、朦朧としていたために記憶が曖昧だ
保健室に着いて、円イスに座らせられる
手際よくガーゼを切り、左頬に貼った
「後、保冷剤」
「……ありがとう」
タオルでくるんだ保冷剤を受けとると同時に保健室のドアが荒々しく開かれた
「「翼ちゃん!!」」
顔を見せた緋麻里と翡麻里は私を見て、同時に青ざめる
「血が出てるじゃないですか!! 誰かにやられたんですか!?」
「……大河に」
緋麻里の質問に答えたのは鸞



