強がりな元姫様



「俺は、アネキの代理としては賛成だったんだが、彼女との共演となると辛い思いするんじゃないかと……」


「……」


「……翼?」


「……よかった」


安心よりも嬉しさがあった


「星夜に、嫌われたんじゃないかなーって」


目の前にたっている彼に突き放されたんじゃないかって


「……違ったんだ。 本当によかった」


安心したせいか、涙が浮かんだ


「……っ、謝るのは俺の方だ。 ごめんな」


星夜の指が涙をすくう


手が私の頬に触れた


「翼」


「……!」


視線が間近で合い、そらせない


ドクンドクン


速くなっていく鼓動


段々遠退いていく音


近づいてくる顔に反射的に目を閉じた


額に感じた温もり


一瞬だったのが長く感じた


「――……さぁ、続いては、皆さんお待ちかねのー…」


「サンタさんの登場や!!」


ホールの声で現実に引き戻された