「……っ!」
「きゃあっ!」
翔太が遥に抱きついた
「……は、遥。 よかった……」
「……? 翔太君、泣いてます?」
「泣いてねぇーし!」
「……クス」
肩を震わせている翔太の頭を遥はそっと撫でた
「遥おねぇちゃんが抱きつかれてる!」
「ずるい! ボクも抱きつきたい!」
「わたしも!」
それを遠くから見ていた子ども達が集まってきた
「……遥さん、お兄さんを少しお借りしますね」
笑顔で翔太の肩を掴み、部屋の外へ連れ出した
その後を私達は追いかけた
「――……遥さんを昨日この病院に移した。 その事を知っているのは、本の数人しかいない」
塁は一芝居うったと言う
今頃は遥がいた個室には関係者以外立ち入り禁止となっているらしい
「……だから、一昨日から遥に会えなかったのか」
翔太の言葉には、安心しているようだった



