「……そうね」
笑いたいのにうまく笑えない
「……」
緋麻里が何か言いたそうにしていたが、口を閉じて
「全員揃いましたから、入りましょうよ!」
「そうだね。 でも、その前に……」
塁は私達の方に身体を向けた後、
「会わせたい人がいるんだ」
ニッコリと笑って言った
「――会わせたい人って、患者さんですか?」
「そうだよ。 ここにいる」
塁が案内した場所は302号室
中から楽しそうな声が聞こえてきた
コンコンッ
ガララッ
「盛り上がっている所、失礼するよ」
スライド式のドアが開き、中の様子が見えた
広い部屋に六つのベッド
その内の一つの集まっている五人の子ども達
「あ! 塁にぃちゃんだー!」
「塁にぃちゃん! 後ろにいるのはお友達?」
こちらに気づくと五人の子ども達が塁に集まる



