「まぁ…どんなにシリアスな曲でも颯一が歌えばそれなりに面白くなるのは確かだ」
「「あー」」
「!? 双子も納得するんやない!」
「よ、ミスターコメディアン」
「……星夜も何言ってんねん」
周りから言われてガクッと項垂れる颯一
ここまでイジリがいのある奴はそれほどいないよ
「……不思議と共感できるんだが」
「うん、俺も知らないのに知ってる感がある」
翔太と浩輔がわからない、とでも言うように顔をしかめた
オレ達にとっても忘れらる事の出来ない出来事があった
少なくともそこから始まったんだ
「……」
ここまで来てから一言も発しない翼
何を考えているかいたかがわからない
ボーッ、と遠くを見ている
オレが歌っていた間も上の空だったな
「次は……翼な」
だから、指名した
「…………え」
反応したのは数秒遅れてからだった



