強がりな元姫様



「翔太、だっけ? 闇医者ばかりじゃないよ。 名医が数人はいる。 ただ、上には逆らえないらしくてね……」


手を顎に当てて考える仕草をする


「……塁、何人かの医師に聞いとったよな? それでわかったんか」


「ヒヤヒヤしたよー。 突然、話しかけたりするもん」


颯一が関心しだし、翡麻里は身震いした


「少し時間はかかるけど…遥さんは俺に任せてくれないかな?」


顎から手を離して何かを決めたかのように塁が立ち上がる


「……この際、誰でもいい。 遥を助けてくれ!!」


「うん、任せて。 思い立ったらすぐ行動だから、俺は帰るね」


またね、と手を振って個室から出ていった


「……遥」


翔太は呟き、俯いたまま動かない


少しでも癒せればと思うんだが……


「ここに来たんだし、歌うか」


オレはマイクを手に立ち上がり、曲を入れてスタンバイをする