……マズイ、翔太が思っていた異常に弱りきっている


床に座り込んだまま、視線は遥ちゃんに向けている


まどかに追い討ちをかけられたか


「……翔太、場所を変えよう」


腕をつかんで立ち上がらせようとしても脱け殻のように動こうともしない


「――アイツになに言われた。 詳しく聞こうじゃないか」


オレは[鸞]ではなく、[舜]として翔太に向き合う


[舜]は普段は誰に対しても無関心だが、やる時はやる男


スッと無表情に戻り、声もワントーン落とす


「……なぁ、舜…これからどうすればいいと思う?」


ゆっくりと顔を動かし、オレを見た


表情がひきつっていて、目から一筋の涙が流れ落ちた


「ここではするな」


それだけ言って、翔太を立ち上がらせる


病院を出て、ある場所に移動する


「……先に行ってる。 いつもの場所だろう?」


「あぁ」


星夜はスマホを耳に当てて誰かと電話しようとしている