「あ、あぁ……なんだ、来てたのか」
気づかれまいと何とか笑顔を作って遥に近づく
「ホラ、欲しいと言っていた新刊だぞ」
「わぁ、ありがとうございます!」
遥に本を渡し、翔太は肩越しに私を見る
目付きが鋭くなっていた
まぁ、怒るでしょうけどここではやらないわよね
「……悪いが、ちょっと話いいか?」
口元は笑っていても目が笑っていない
「……私も話があるわ。 遥、少し抜けるから引き続き″皆″と楽しんでね」
あえて皆、を強調したのは翔太と一対一で話をしたいから
緋麻里と星夜が心配そうに見ている
大丈夫、と言うように小さく笑った
「……行こう」
「……」
私と翔太は個室を出た



