雛菊に責められた時、必死に耐えようとする姿を見て翼は弱さを見せたくないんだと気づいた
やっていないという主張も必死の抵抗の一つだとも
作っていた笑顔の裏に沢山の悲しみを抱えている事も
俺は、ほっとけなかった
絶望だけじゃなく幸福も知ってほしいと思った
「――……翼が本当の笑顔を見せてくれた時、嬉しかった。 その笑顔を俺は失いたくないんだ」
「つまり、星夜はつーちゃんが……？」
「あぁ。 好きだよ」
「！」
「翼が好きだ。 けど、今は言わない。 まだ終わっていないからな」
雛菊と現姫との決着がつくまでは言えない
「……」
「……アネキ？」
ポカンと呆けていた
「……そう。 ……星夜は、つーちゃんが……」
両手で顔を押さえて俯く
「……ア」
「ふっ、くく…くくくっ」
肩が小刻みに揺れ始めた
