『私はやってない!』


滅多に表情を崩さない翼が泣きそうになっていた


『……信じてよ』


でも、俺らは嘘吐き呼ばわりして追い出したんだ


誰一人翼を信じようとしなかった


俺は後悔してる


……もう遅いのに


「浩輔、どぉしたのぉ」


「!? あ、何でもない」


湿布を手頃な大きさに切ってまどかの頬に貼った


「ありがとぉ、浩輔ぇ」


ゾワッ


ニコォとした笑顔に悪寒が走った


正直、まどかは苦手だ


化粧は濃いし、変な臭いはするし、なんと言っても喋り方がそこらのケバい女と変わらない


これは俺だけかも知れないけど、なんか裏がありそうな気がする


なのに姫にしたんだよ


姫にしようと言ったの誰だっけ?


……翔太だ


翔太の説得でしたんだわ


何やってんだよー!


……承諾した俺も人の事言えないけどさ


ガララッ!


大きな音を立ててドアが開いた