『私は行くよ。 翔太の抱えているものを解放してあげたい』


紙を握りしめた姿は、まっすぐだった


前を進もうとする姿勢に目を奪われた


緋麻里と塁と別れてもう一度倉庫に寄り、家に帰った


夕飯をとり、翼とは部屋の前で別れる


バタンッ


「……」


ドアを背にして座り込んだ


あの感触が忘れられない


手が震えている事には気づいていた


だが、翼は隠そうとしていた


平気そうに何もなかったかのように振る舞おうとしたのが許せなかった


――気づいたら翼を後ろから抱き締めていた


驚くのもわかっていたのに離れたくなかった


鸞に言われて我に返ったけども、あれは少なくとも感謝している


……しかし、通行人Aって何だ?


考える間もなく一言言って行ってしまった


これは炎舞にも協力要請願おうか、やめようか


「……一応、言っとくか」


そう決めた所でスマホの着信が鳴った