『――……お前なんて要らないんだ』


……嫌だ!


『今すぐここから出てけ!』


そんな事言わないで、お父さん!!


「――……はっ」


ドッドッドッ


心臓が耳元にあるように覚えた


鼓動が速く大きく動いている


「……まただ」


目元から一筋の涙が流れた


いつになったら悪夢にうなされなくなるんだろう


見慣れない部屋を見渡そうと上体を起こそうとしたが、できなかった


何かが私の腹部に巻き付いている


見てみるとそれは誰かの腕だった


「う……ん」


「っ!?」


耳元に息がかかった


頭を横に動かして硬直


白髪のセミロングの女性が気持ち良さそうに眠っていた


……とりあえず、起こそう


左手で女性肩を掴んで揺すった


「あの…起きて、下さい」


「う、んん…」


女性は目を擦りながら起き上がった