車に揺られる間、緋麻里から電話が来た


しっかり休んでください、と会話の最後に言われた


私が通話を終えた後でも星夜はどこかにかけ続けていた


暫く経って着いたと言われて降りたのはいいけど、高い建物に隣設するように建っている一軒家が目に入る


「……ここなの?」


「そうだ」


あっさりと言い、私の手を掴み中に入る


中は私が住んでいた家とは比べ物にならない位に広い


「お帰りなさいませ、星夜様」


玄関には初老の男性が執事の格好で立っていた


「あぁ、ただいま。 彼女は……」


「高岸翼様ですよね? 夜空-ヨゾラ-様からお聞きしています」


夜空様?


「話は早い。 いつもの所か?」


「はい」


「わかった。 案内は不要だ」


「かしこまりました」


初老の執事は頭を下げる


星夜の後ろを付いていって長い廊下を歩く


その途中でドアの前に止まった


ドアというより扉だ