「人前で泣きたくなかったのよ。 それなのに、お父さんに言われた″出ていけ″って言葉があの時と重なった。 忘れたいのに忘れられない」


言葉が出る度に涙が流れ出す


「……私、いつの間にこんなに弱くなったの?」


「翼は弱くない」


むしろ強すぎる


強すぎて、人との関わりを避けて…気づかないうちに少しずつ心が脆くなっていく


一つの裏切りをきっかけに敵となった周りに一人で立ち向かって行く姿


強く弱しき少女…それが翼だ


「……少なくとも俺には弱さを見せてほしいな」


俯いた頭の上に手をのせて、撫でる


「不思議ね。 星夜に、撫でられるとなんだか落ちつくの」


翼は口元に小さく笑みを浮かべ涙を拭った


「……来た」


公園前に一台の車が止まった


「立てるか?」


「うん」


翼の手をとって公園を後にした





side end.