強がりな元姫様



「……!?」


身体を硬直し、目を見開いたまま動かなくなった


涙、止まった


「……翼、俺ん家に来るか?」


言うなら今しかない


「家族なら歓迎してくれる。 翼の傷も癒せるかもしれない」


「……いいよ。 迷惑になる」


翼は首を横に振った


否定されるのは予測できていた 


だが、


「……無理にでも連れていく」


今の翼を一人にするわけにはいかないからだ


「荷物はこれだけか?」


大きめの鞄を持った


「ちょっと、私は大丈夫だから…」


「いいから」


手をとって部屋を後にした


階段を下りて玄関に向かう


繋がれた手を振り払われずにただされるがままだった


それに嬉しく思ってしまう俺がいる


「……待ちたまえ」


玄関のドアを開けた瞬間に男が書斎から顔を出した


握られた手に翼からの力が入り、俺は握り返した